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ドラマティカルマーダー感想ー美女の描くBLー

DRAMAtical Murder -通常版-
価格:
Nitro+CHiRAL(2012-04-27)
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オタクの妄想とは思えないストーリー展開に驚きました。
常々作品に漂う天然っぽさから淵井鏑先生って美人なのかもなぁ、って思っていたのですが本作で確信しました。これは100%美女です。
これ完全にリア充の思考ですもん、絶対に眼鏡の似合う〔これは私の希望入ってるけどナチュラル系美女に違いありません!

本作では電脳空間上のアバターと会話したりサイコダイブしたり、と精神の世界が出てきます。
が、それでも思想は一元的で、グッドエンドを迎えると作者が物質を重要だと考えている事が分かります。

通常、オタクは二元論者。
人型プラスティックを萌えフィギュアとして愛で、
やおい二次創作でデザインが同じだけのお目目きらきら美少年を「ルフ○だよ」とのたまう。
「物としての在り方はともかく私にはこう見える」我思う、ゆえに我あり的な考え方が多い筈です。
現実のイケメンでなくとも、イケメンに思えるものであれば愛せる。
ここまで極端な例でなくとも、アニメだのゲームだのの虚構の人物というか絵を人格と考える時点で物質=本質と考えていない事は明らかです。

そんな中、本作で特筆したいのは、人工生命体たんと別人格たんの物語。
まず人工生命体のクリア君、彼はイケメンアンドロイドです。
高度な学習能力を持ち主人公から受ける影響を行動に活かす彼を、私は彼を人格を持つ存在と認識しました。

しかし、作者は彼をあくまでロボット、つまり物だと考えていると思います。
彼はバッドエンドでは中身を第三者に改造されてしまい、
グッドエンドでは一度なくなった彼を修理して再起動させます。
主人公〔作者の視点?〕は新生クリア君と変わらずラブラブですが、私からすると「それはもう別物なのでは?」と思ってしまいます。

バッドエンドはまだ「人格をベースに改造」だそうなので、基は元のクリア君と思えなくもありません。
ですが一度死んでいるクリア君を治して、というのは私的には個体に固執しているように見えるなぁ…
あのクリア君の人格は入れ物の破壊によって「死んだ」、だからもう会えない、と思ったのですが、
作者さん的には入れ物を直せばまた似たような行動し始めるじゃん!あれプログラムだよ?と思ったのでしょう。

まぁ、同じ状況なら細かい事考えずに修理するけど、でも入れ物を直した事で再稼動したクリア君は元と同じなのかな?
会えて良かったでござる…ってリアルな死をお届けしたあの中身こそが彼のイデアであり本質だと私は思ったのだけど…。
エヴァ破のシンジ君は別の者と思ったから〔単に第二の存在を知らなかったからかも〕第一綾波を助けたよね。
親父的によくわからんロボである初号機はユイ認識だけどクローンの綾波はユイじゃないっぽいよね。
でもとりあえずハッピーエンドをそういう話にしたって事は作者は同じと思っているのかな、と思います。

別人格の蓮くんは、主人公の従人格で普段は犬型コンピュータに入っていて仮想空間ではイケメンの姿を取ります。
彼はなんとグッドエンドでは人型として現界します。
犬型で何か支障があるんだっけ?と前後の文章を読み返してみましたがそんな事は特に無さそう。
ただ、おそらく淵井鏑さんにとってイケメンの精神も、物質としてセクロス出来る形状でないと意味がないのでしょう。

私は蓮たんはわんわんの外見が好きです。あの前足と瞳がたまりません。
いや、内面も犬型ロボットの蓮が好きですね、新型コンピュータに対して妬くとこは人型にはない特徴だもんね。
だから本当は犬型に犯られたかったけど、でもイケメン形状もわん蓮たんと同じ中身だと認識するから尻貸しても良いかな、って思います。
だってわん蓮たんとイケ蓮たんも心の瞳で見ると同じだから。

仮想空間上で「ずっと一緒だからね!」と約束しておいて脈拍なくいなくなる→人型として戻ってくる展開は、
おそらく結構?となるプレイヤー多かったと思います。
それ程、無理やりにでもイケメン型を現実世界に連れてくる事に拘るのは私には無い考え方で新鮮でした。
いや、私でなくともオタクなら電脳空間上の精神同士の恋愛、という展開は結構受け入れる人が多い筈。だってこのゲームからしてディスプレイの向こうの話しだし。

蓮たんには電脳空間に精神データのまま縛られるエンディングもありますが、
接触の主は外傷とファ○クなので、プラトニック純愛という感じはあまりしません。
先述のクリア君バッドも、相手の形を変えて干渉する話だったし。

もし作者がBL書いて読んで食って寝る、みたいな生活をしている人間ならこれだけ「イケメンとしての物質」に拘るわけありません。
きっと彼女にとっては現実の世界がリアルで、精神だのといった妄想世界は偽なのですね。
エロシナリオ書いた後は銀座〔で良いの?お洒落な所って〕でデートでもするのでしょう。

あと主人公にはもう一個人格があって、
蒼葉くんには可愛い主人格と元の強気な人格があるんです。
攻略対象達は序盤は元の方の人格に惹かれているぽいのですが、最終的に主人格の方とグッドエンド迎えます。

元の人格的には寝取られって事お??
やっぱり体を持っている事が重要なんですかね??
プレイヤー的にはどっち贔屓とかあんま無いのかな?理由よくわからず推し消えたら泣くかも。

他の作品だして恐縮ですが、鬼畜眼鏡という二重人格ものBLがあります。
こちらは明確に2つの人格が別れていて、
どちらの人格かで展開が大きく変わります。
どっちも本質は同じ、やっぱり違う、両方の結末があり、
人格同士では同族嫌悪もあるが最大の理解者として惹かれもする、複雑で共存する侵食する受け渡すどの展開も結構揉めます。
二重人格もの作るなら普通こうよねって話です。

ラマダはそこら辺あまりよく分からないんです。
蒼葉くんは良い子なので、私が「?」と疑っている事も蒼葉くんは素直に受けいれて話が即進行していきます。
両方蒼葉というなら犬も蒼葉では?と思うのですが、犬は消えずに元人格は消える。
謎は深まります…。

ただ、個人的には鬼畜眼鏡という発売済の作品と違うアプローチをした事を凄く評価したいです。
鬼畜眼鏡のライターは好き好き大好き!のTAMAMI先生、やはり心理描写で右に出る方そういません。
後出しなのもあるし直球の二重人格もので鬼畜眼鏡を超えるのは難しいと思います。

精神軽視の精神世界ものという、
恐らく他の作家には出せない尖った作品が出たことに感謝します。

といっても唯物論的考え方は歴代作品見れば十分想像つく事でした。〔精神世界でも否定する程とは思わなかったけど〕
本作で結構意外だと思ったのは、

・兄とのルートが無い。
今まで特別な才能を持っている登場人物は贔屓され気味、
特に前作なんて遺伝子的に一番優秀な奴しかルート無かった位なのに珍しいと思いました。

・多人数プレイ
あまりにも無いからタイマンしか許せない人かと思っていました。
〔ライバッドはある意味3Pだけど〕

・登場人物が皆比較的まとも
まず主人公が普通ですしね。
あのブレイドさんは殴るような事でもないのに殴ってきてまともとは言いづらいですが、
少なくとも前作よりは意味がわかりました。前作は姉ちゃんとジジイ以外はかなり天然で結構謎だった。
エロバッドエンド要因かと思った双子も割と普通に萌えキャラでしたね。

そのせいもあるのかサイコダイブを題材としている割にバッドエンドが大人しめに感じました。
達磨と聞いて期待していましたが最中〔切断+セクシャルな意味で〕じゃないのね。
しかも別人になった彼氏にというのが…CGは綺麗だけど…。

ミンクさんの生首バッドはエンディング自体は好きだけど、あのブレイドさんが主人公を好きだっていう片鱗あんま無くて突然だったのがちょっとなぁ…。
どうせ二人で生き残るのは無理だから魂を貰っていくという終わり方は本作にしては純愛寄りな話ですね。

歴代ニトロプラスキラル作品のメッセージ性がこんな感じだとすれば↓
咎狗の血:恋愛ゲームだからといって「好き」という感情だけで上手くいくわけではない。
Lamento:萌えの力が全てを救う。萌えれば救われます。
sweet pool:女性は産む機械。アンチ恋愛。

ドラマティカルマーダーの訴えかけは精神世界否定、つまり「物理主義」じゃないかな。
わんこ→にゃんこ→魚は毎回逆の事を言っている感じでしたが、本作と前回は真逆ではないですね。アンチ沙耶思考は共通しています。

「ミクとかいう触れも出来ないコンピュータグラフィクスに夢中になっていないでリアル彼女を作れ」みたいな事が言いたかったのでは、と思います。
あと犬とのセクロスは鏑的にはなしだよ、みたいな。
イギリス紳士とかよく動物とセクロスしてニュースになってるじゃん!※珍しいからニュースになるのです。

Lamentoを初めてやった時私はコノエたんは萌えキャラの象徴であって、
それが各人にとって人型プラスティックだろうとCGだろうと、癒され精神を健やかにする事が重要なのかと思っていましたが、
書いてる本人は「実際に美少女が困っている所を探して救助しろ」と思っていたのかな。
……どこか出かけようかなうち…コリドー街?

…それにしても獣○ないのがな…。
サイトでの紹介文主人公の次だぜ!?※怒りの庭レベルだと思う。

※メインビジュアルに大きく乗ってるヒロインのルートが無い伝説のエロゲ。

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